研究費に思うこと

「研究不正」にはさまざまな要因がからみあっていますが、研究費との関係もその一つでしょう。研究費の「不正使用」ということが、今でも報道されます。科学者が社会からの信頼をなくする大きな問題だといえるでしょう。論文の捏造や論文数の水増しなどは研究成果に関する不正ですが、研究実施に係る経費はどうなっているのでしょうか。

大学で研究に携わったことを振り返ってみると、研究成果は公表した論文等を通じて、社会の共有知財として活かされることに喜びを感じるものです。その一方で、その研究を実施するにあたっての公的資金の実態を伝えることには、それほど関心をもっていなかったと反省しています。一般的には、研究費はあまり公表しないようです。研究費の原資は分野によってさまざまでしょうが、curiosity-drivenの基礎的な研究では、代表的には科学研究費でしょう。科研費については、「科研費データベース」を通じて、だれでも、特定の研究者の研究経費と成果を知ることができます。私が研究代表者として実施した科研費による研究は17件であることが分かります。

2年半ほど前、2011年3月に大学を退職するときに、研究代表者として研究室での研究に充てた経費の状況を振り返ってみました。「研究室」の大きさは、いわゆる旧小講座程度で、少しの変動はありましたが、おおむね、教授、准教授、助教が各1名で、大学院学生と一緒に研究をするというものでした。そのときに使ったのはスライドのページ「研究費」でした。研究室の教員が共同研究者として実施した経費分を示したものです。もちろん、若手の教員も科研費を獲得していましたので、これだけで研究室の研究費をまかなったというわけではありません。また、大学院の学生には、研究課題を自ら見つけることを勧めていましたので、科研費の課題と異なることもありました。そのときには、別途、研究費を充てることもありました。

科研費に限らず、公的資金への応募に際しては、すべての書類を自分で作りました。それなりの苦労はありましたが、それでも、研究マネージメントに時間がとられる、といった感じはしませんでした。つつましい研究だったといえるでしょうか。

上に示した研究費の状況の中には、文科省の研究プロジェクトe-Societyの経費にも触れていますが、このプロジェクトについては別の機会に書きたいと思います。2006年には、エフォートを考慮して、科研費を申請しなかったと記憶しています。それ以外には、研究費としては、企業等からいただいた寄付金もいくらかありました。大学の公費(運営費交付金)や科研費で海外出張が認められなかった時期には、非常にありがたい資金でした。特定の研究課題の支援経費ではありませんでした。また、当然のこととして、寄付金には利益相反への配慮が必要ですので、管理的職務についてからはその可能性を排除するために、一切の寄付金を受けませんでした。

研究に係る倫理のあり方を考えるにつけ、他者の批判をするだけではなく、自らの行動を振り返ってみることも大事ではないかと思います。公的にその場にある人たちは、積極的に成果と研究費の関係も公表すべきでしょう。

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